間取りの欠点を長所に変える
3ヶ月程前に設営をした新築建売現場 での事です。
30棟以上が建て並ぶ中で一番売れにくそうな間取りの一棟にホームステージングをして欲しいと任されました。
実は下見に行った時に「この家は最後まで売れ残るだろうな。」と思いました。
理由は2階にあるLDKが変形で使いづらい事です。
クライアントから若いファミリー向けと聞いていましたが子育てしづらい間取りです。
キッチンは隅の奥まった所にあるので料理中は家族の様子が全く見えません。
ダイニングはキッチンと離れていて料理を運ぶ距離が長過ぎます。
LDKの中心は階段の踊り場を兼ねたスペースになっていますが通路としての動線も確保しなければならない場所なのでソファやテレビ台などの大きな家具は置けません。。。これではリビングのど真ん中がデッドスペースとなり、物件最大のネックです。
ですからどのようにホームステージング をしようかと悩みましたが、もし自分が住むならこれしか無いな、と思うホームステージング にたどり着きました。
LDKに接した独立洋室にソファやテレビボードを置いてリビングルームにしました。
2階の中心に位置する中途半端なスペースはこの家の最大の欠点でしたが、主婦スペースをイメージしてかわいいデザインの白いデスクの上におしゃれなスタンドとアイロンを置きました。このスペースをデッドスペースでは無く、むしろ趣味や家事に丁度良いスペースと感じてもらえる演出をしました。
リビング
我ながら上手くいったなぁと思っていたらスタッフが「この家、良いなぁ。もしかしてすごく良い間取りなんじゃない?自分が住みたくなってきた。」なんて言い出しました。
確かにパパさん、ママさんは自分の部屋なんてなかなか持てません。家族の様子が見える家の真ん中にちょっとした大人のスペースがあるのは嬉しいものです。
ホームステージングではアイロンを置いてみましたが、実際にはパソコンを置いたり、ミシンをかけたり、家計簿をつけたり、読書をしたり、ネイルやメイクをしてみたり。。。パパさんが趣味のプラモデルを組み立てるかも知れません。使い方は無限大に広がります。
さて、ホームステージング 設営後に売れたかどうか気にはなっていましたが知る事はありませんでした。
というのは、本来は家具小物類は全てレンタルなので売れたら引き上げに行くのですが、クライアントの希望で全て引き渡しにしていたのです。
多棟現場なので、全部売れるまでに半年位は掛かるだろうとの事で、ホームステージング した家が売れたら家具小物類を自分達で別の家に移したり、照明器具や家具をお客様にプレゼントしたり臨機応変にやりたいとの事でした。
初めての事ですが(昔の恩人からの依頼ということもあり)特別にメニューに無い方法でお引き受けしたのでした。
ですから引き上げに行く事がありませんので、その後どうなったのか知る機会がなかったのです。
それがたまたま別件でクライアントにお会いしてその後の状況を知る事が出来ました。
あのホームステージングを した家は直ぐに売れたので、別の家に家具小物類を移動させたら又直ぐにその家が売れちゃって、ホームステージング をした家からどんどん売れちゃうから次々と移動させて大変だったよ、との事です。
バンザーイ!!
なんでそんな嬉しい事を今まで教えてくれなかったのか、と少し不満に思いましたが。。。
あの部屋の使い方の提案はあれで良かったのか?気になっていた感想を聞いてみました。
もちろん、思い付かなかった部屋の使い方になるほどと感心したと仰って頂けました。
一番売れなさそうな家が真っ先に売れてしまうなんて、ホームステージングの力ってすごいなぁ!
お役に立てていた事を知り本当にホッとしました。